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人生のログ(にしたい)。本のメモや感想を中心に。

『化学の歴史』 感想
















教科書や参考書に小噺的に歴史的な事柄がちょこちょこ乗っていますよね。ああいったものを大まかな流れとして掴める内容です。

いくつか面白かった点を挙げると
1.根本にある思想、哲学、信条の重要性。
原子論とかラボアジェによる正確な測定とか。
ある程度昔は「世界はこうあるべきだ」みたいなものが、仮説を立てる上でも方針となっていたのしょうか。今でも理論物理なんかはとくにきれいな対称性を持っていてほしい、とかがあるイメージですが、いやこう"世界"ってでかいじゃないですか。

2.発見or理論自体は正しいが、背景にある想定は間違っていた。
熱素説あたりのくだりですね。
一例を挙げると酸素と窒素を分離したときに、窒素をフロギストン化空気、酸素が脱フロギストン化空気と熱素説ベースで命名したような。
それでも見えないものを説明しようとした姿勢には驚かされます。

3.簡潔でわかりやすい表記や記号体系はかなりの大発明である。
周期表とか構造式とかですね。
この辺は歴史的な成り立ちを知ることで、改めてありがたみを実感できるような気がします。
メンデレーエフの、あくまで性質を揃えることを重視して、周期表の"空き”を作ったり、原子量順にしたときと多少食い違うことを切り捨てたりした先見の明というか大胆さは本当に素晴らしいです。

化学というか科学がいかに人類の積み重ねなのかを改めて認識出来る本。面白かったです。


ところでアシモフさんって生化学者だったんですね。ロボット三原則を提唱したSF作家だとばかり思っておりました。