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人生のログ(にしたい)。本のメモや感想を中心に。

『量子力学(I)』小出昭一郎 感想

ちゃんとした(?)量子"力"学の本をちゃんと読むのは初めてだったかもしれない。

1章はよくあるあれ。シュレディンガーの顔写真が若くてイケメン。
3章の演算子の固有関数や固有値だとかは最初から行列と対応させて読むほうが分かりやすい気がする。
4章の特殊関数は天下りに解として紹介される。球面調和関数は6〜8章全部に出てくるんだよな。とはいえ量子数lとmが何、Y^m_lがl^2とl_zの同時固有関数、昇降演算子でどうなるかくらいだけ分かっていれば困らないかしら。三次元調和振動子極座標で書くのは面白いと思った。
5章、散乱はほぼパス。トンネリングは2章とかでもよかったような。
6章が行列をいちいち具体的に書いてくれているのでわかりやすい。そういえばこの本だとヒルベルト空間は無限次元のものに限って言っているんだな。
7章、エネルギーの二次の摂動の導出はそういえば初めて見た。水素原子の分極の基底状態励起状態による違いは面白い。時間に依存する摂動法はII巻。変分原理のところは未定係数法を使ってくれないほうがわかりにくい。
8章、スピンを軌道角運動量の類推から導入しているのは、完全な天下りよりはわかりやすいような気にさせられるがちょっと不安になる。

量子論の基礎で批判しているような具合に進むごとに概念の修正を求められる、というわけではないけれど、継ぎ足し的に概念が導入されるのはちょっと読みにくいと思った。