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人生のログ(にしたい)。本のメモや感想を中心に。

『BEATLESS』感想

2月に読んだ本まとめに一言書くつもりが思いの外長くなったので別ページにした。

ずいぶん積んであったのをようやく読んだ。某人の言及の仕方から割と堅いSFなのだと思っていたけれど、主要人物の年齢とそれに合わせた文体という意味でラノベっぽい。ヘヴィだけど(物理的に)。レイシア級にカギ括弧付きで口上をそれぞれ喋らせたシーンは正直、何やこれ…と思ったけど今は素直にサイコーだと思える。主要人物とレイシア級が(おおむね)(結果的に)1対1の対応をもつこと、非力な人間の命令で強力な道具であるレイシア級が動くことからローゼンメイデンとかFateとからしいとも思う。

思想が対照的なアラト、リョウ、ケンゴ、(エリカ・バロウズ)とそれぞれに対応するレイシア級を軸に話が進んでいくのが綺麗。
主にリョウのhIEへの嫌悪というか何だろう、道具であることを過剰に(?)意識していることが正直理解しきれてなくて、便利なら何でもいいし、アナログハックだろうと何だろうと人間らしさを感じることの何がいけないんだ……?と思いはした。あえて作中の人物のスタンスでいうとユカやアラトに近くて、これは自分が便利さとオタクコンテンツを享受するだけの消費者だからだろうとは思う。

とはいえ、完全に変わりきってしまった世界ではなく変わりゆく世界の話だし、変化に直面した人間のほうが保守的になるのはちょっとリアルだと思う。(保守的というのは単語の選択がちょっとよくない感じがする。hIEが人間の形をしているから過剰に反応している部分が大きいわけだし)
だからある意味われわれと同じ前世紀の人間であるエリカ・バロウズが徹底して開き直れているのかもしれない。自分の場合は単に想像力が欠如しているだけにしても。

一晩で一気に読み終えてしまうくらいには面白かった。