99ln(99/e)

人生のログ(にしたい)。本のメモや感想を中心に。

イシューからはじめよ



 自己啓発書の類は読まないのだけど、自分の読みたい本リストに入ってる以上は何か信用できるところからのおすすめがあったのだろう、ということで図書館で借りてきた次第。

 大枠をざっくり言うと、バリューのある仕事をするためにはとにかくイシュー度(≒課題の質)が高いものに取り組むべきで、仕事を始めるときには、問題を見極めて吟味して分解したりしてイシュー度の高いテーマを抽出するのが大事なんだけど実はみんなその辺が蔑ろになっているからちゃんとやるといいよみたいな話。ざっくり。
 大枠としてはこんなもんで、あとは細部としてよい課題とは、イシューの見極め方、あとは実行に移していく上での話とか諸々。

 この本の良いところは、1つには仕事だけでなくいわゆる理系的な研究でも同じことが言えるとしていること。加えて最近の生命系の研究者やその周囲の人々の言葉を引用していること。著者は脳神経科学の研究をしていたそうで、その主張は実体験にもとづいているのだろうし、単純に説得力がある。引用についても自分の分野に近い人の発言なわけで、物理学の全くの門外漢が20世紀初頭の物理学者の発言を引用するのとは、重みというか理解度が全く違うだろうし。(個人的によくわからん自己啓発本で有名な科学者の発言が引用されているのが鼻につくから、この本ではそういうのがなくてよかったなあというだけでもあるのだけど)
 
 2つ目は、さっき細部といった部分に種々のメソッドが紹介されているわけなのだけど、それらの方法には固執しすぎないようにしよう、と書いてあること。
大枠のイシュー度の高い仕事をしようというのが集合あるいは戦略であれば、細部のイシューの選び方や処理の仕方というのはその集合の要素または戦術にあたるわけだからこの本の構成からすると当たり前といえば当たり前なわけだけど、「特定の方法で何でも出来る!!!」みたいな本よりは心象がかなり良いわけです。

一番個人的に意識しなければなーと思ったのは、「何はともあれ言葉にする」、イシューを見極めてそれに対する仮説を考えたら、それをきちんと言葉に落としこむこと。仮説を言葉で表現するときのポイントは1.主語と動詞を入れる。2.「where」「what」「how」重点。 3.比較表現を入れる。だそう。
 僕はたぶんこの本で指摘されてるビジュアル何とかで、ここで図をこう書いたら伝えられるはず、と思うことが多くて、で仮に図を描けたとしても通じる人にしか通じない、みたいな事案はわりとあって。仮説に限らず自分の理解をきちんと言葉に落としこめるようになりたいとは最近とくに思います。

ごちゃごちゃ書きましたが、この手の本ではわりとおすすめできる部類だと思います。